34 17業平番外編(2)ーつひにゆく道(続 寸寸最終講義)
17業平番外編(2)ーつひにゆく道(続 寸寸最終講義)
昨年(2021年)11 月30日付のブログ(14 つひにゆく道ー寸寸最終講義)で、学会での実質的な最終講義がWIFIの状況がよくなくて切れ切れであったということを書きました。あとでその録画を頂きましたが、確かに、途中で4回ほど切れてしまっていて、先生方がお話をつないで下さっている様子がよくわかり、大変有り難かったのですが、そちらは学会のものですので、ここで公開はすることはできません。
(光琳かるた 業平↓)
けれど、その翌日学生のために自分で吹き込み直したもの(内容はほぼ同じ)があります。講演録を載せた雑誌が届きましたので、そちらの方ならば、そろそろ公開してもよい時期となりました。 前半は学生向けに在原業平についてわかりやすく解説したもの、後半は一応これまでに言われていない新しいことを述べています。
1時間6分ほどの長丁場ですから。そのつもりでお聞き下さい(もちろん、聞き直しもできますし、途中で止めることも可能ですが)。一昨年から始まったオンライン授業のオンデマンド方式というのはこんな形でやっていました。
下のリンクをクリックすれば始まります。
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コメント
「昨日今日」というのは、私が勉強を再開した東北大学で、菊田茂男先生が国文学普通講義で発された問いなのです。 窓から見える青葉山の緑に囲まれ、久しぶりに若い学生さんたちと一緒に講義を聴くという体験は、今思い出しても至福の時間でした。
秋田美男の菊田先生が語られる講義は、岡崎義恵の流れを汲む日本文芸学、とても格調が高く、雑談までユーモアにあふれた品格のあるものでした。
ヨーロッパを訪れた時に、リルケの墓を訪ね水をかけていると、土地の人にどうしてそんなことをするのだと聞かれたー欧州ならお花を供えるといったところでしょうかーとか、
推理小説を読んでいて犯人がすぐわかり、自分の頭がよくなったのかと思ったら、もう読んだ本だったと気づいて絶望したーとか。
「昨日今日」は、『伊勢物語』の講義のなかだったとは思いますが、「どうして今日明日ではなく昨日今日なのですか」という問いは大変印象的でした。先生は我々に考えよというおつもりで、何も答えはおっしゃいませんでした。ですから、勉強再開スタートで投げかけられた問いに、そろそろ終わり頃になって自分なりの答えを出したということになりましょうか。
けれど、もう菊田先生はお亡くなりになっていて、それをお知らせできないのが残念です。