77 三の丸尚藏館の展示図録公開

 三の丸尚藏館の展示図録公開

  artscape  news9月1日号のメールマガジンを見ていましたら、「展覧会図録のデジタルアーカイブとその公開──三の丸尚蔵館の事例から」という記事がありました。    

 皇室に受け継がれ、国に寄贈された絵画・書・工芸品など、約9,800点の美術品類を収蔵する「三の丸尚蔵館」は、現在休館中(宮内庁から独立行政法人国立文化財機構への移管に伴い「皇居三の丸尚蔵館」に改称のうえ、2023年11月の一部開館を経て2026年に全面開館を予定。)ですが、自館で開催された展覧会の図録をデジタル化し、ウェブサイト上での公開を始めたというのです。

 三の丸尚蔵館学芸室研究員の三島大暉氏によれば、三の丸尚蔵館では1993(平成5)年11月から 2020(令和2)年9月までに開催してきた86 回に及ぶ企画展(第19、84 回展覧会および特別展を除く)の展覧会図録をスキャンしてデジタル化(PDFファイル化)し、一部編集を加えて2021年に三の丸尚蔵館のウェブページからダウンロードできるようにしたということです。 

  展覧会の図録といえば、それなりのお金を出して買うもの、しかも過去の展示の図録は、もう手に入らないことも多いのに、それが家にいながらパソコンやスマホなどの画面で見られるなんて本当に嬉しい驚きです。




    こちらは手元にある三の丸尚蔵館の図録「やまとうた」です。これもHP上で公開されています(第39回 やまとうた―美のこころ 平成17年10月8日~12月11日)。平成17年は、『古今和歌集』が延喜五(895)年に奏覧されてから1100年にあたるということで、あちらこちらの美術館、博物館、でそれに因んだ展示が組まれた年でした。

   コロナ禍で大きく加速したDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れのなか、2022年に改正された博物館法では「博物館資料に係る電磁的記録を作成し、公開すること」という項目が追加されたことも大きいのだとか、つまり秘密にするのではなく、どんどん公開しなさいということですね。

 ただ、宮内庁のホームページにいってもどこにあるかわかりにくいかもしれないので、リンクとやり方をお知らせしておきます。

 まずこれが図録を見るための始めの頁です。

  https://www.kunaicho.go.jp/culture/sannomaru/zuroku-a.html

 このURLをクリックすると、こんな頁が開きます。 

気に入ったところをクリックすると、その図録の表紙と説明の画面となります。
これと同じ画面で、少し文字が小さいですが、全体が見えるものを下に載せます。


   はじめの頁は106件のうち24件まで。次を見たければ、下にある「次の図録一覧」とあるところをクリックします。青丸をつけてあります。

 さてこの画面で、 


   たとえば 第3回花鳥の美―若冲から近代まで 平成6年3月8日~6月12日  とあるところ(青丸をつけてあります)をクリックしますと、  

 という画面になります。

 説明の下の方に展覧会図録(PDF形式:80.3MB)とあるところ(青丸をつけてあります)をクリックすると、その図録が開かれて1頁ずつ見ることができます。

  なんと若冲の絵がたくさん!!

    この先は著作権の問題がありますので、ここには載せられません。ご自分で御覧になって楽しんで下さいね。色は実物ほど鮮やかではありませんが、家にいながらこんなにたくさん若冲が見られるなんて最高です。特にもう手に入らないバックナンバーの図録を見ることができるのが大変ありがたいです。 

 特別展や著作権の関係など見られないものもありますし、皇室関係のものが多いですが、それでも十分、目の保養になります。ほんの一例をあげましたが、 お時間のある時にでも、お好きなものを選んで、楽しんで御覧になって下さいね。

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コメント

御輿 さんのコメント…
三の丸尚蔵館の図録が、自宅にいながらにして一覧できるとは、何とも便利な時代です。そうはわかっていても、どうやって見ればよいのか、手取り足取りのご教示ありがとうございました。一時期年間200回以上美術館博物館に足を運んでいた時期がありました。まだ50代で若かった笑 三の丸尚蔵館も、ずいぶん通ったものです。若冲もまだ全く騒がれていない頃、平成11年から6年がかりで動植綵絵の全修復を終えたという報告を兼ねた展覧会が平成18(2006)年に、三の丸で半年ほど開催されていたことがありました。今から17年ほど前ですね。たまたまその最初の頃に偶然展示を見て、修復直後のくっきりとした美しさ緻密さに度肝を抜かれて、その後展示替えの度に通いつめ、もちろん図録も購入(千円だったような記憶)、漠然とこれは国宝級でそのうち騒がれるのでは?と思っていました。案の定10年後の平成28年(2016)年に都美で開催された若冲展の大混雑はまだ記憶に新しいところです。私は行きませんでしたが、図録は見ました。10年前よりカラーの精度は上がっていましたが、値段も三倍以上になっていたようです。
M.Nakano さんの投稿…
 御輿さん、いつも有り難うございます。若冲がブームになる前から目をつけていらしたなんて、さすがですね。三の丸尚藏館の動植綵絵は、本当に見事です。おっしゃっているのは、「第40回 花鳥―愛でる心,彩る技平成18年3月25日~9月10日」の図録でしょうか。これもHPで見ることができますので、皆様も是非御覧下さい。

 三の丸尚藏館は入館無料でしたので、コロナの頃から、たいていの美術展の入館料が高額になってしまったことを考えると夢のようなことでしたが、今年の11月に「皇居三の丸尚蔵館」となって一部開館される時はどうなるのでしょうね。京都御所・京都仙洞御所・桂離宮・修学院離宮等の参観も無料から有料となりましたので、オンシーズン以外は、少し空きがあるようになりました。冷泉家が文化財保存のために土蔵を制作するというクラウドファンディングを募った(なんと一日で目標額達成!)というように、こうした文化財の保存というのも、大変お金がかかることですから、有料化も仕方ないのかもしれません。
柊 さんのコメント…
こんにちは。
三の丸尚蔵館の図録公開をお知らせくださり、ありがとうございました。
並んでいるのを見ると壮観です。
行きそびれた展覧会や、迷ったあげくに購入しなかった図録なども多数あるので、他の美術館でもこういった試みはどんどん進めてほしいものです。
美術館や博物館に行くのは好きなのですが、この4年ほどは何処も日時指定になり、手続きが面倒に思えていました。
やっと(平日は)いつでも入館できるところが増えてほっとしています。
先日は東博に行き、応援(ささやかですが)の意味で友の会に入会してきました。
もうすぐやまと絵の特別展が開かれますね。
M.Nakano さんの投稿…
 柊さん、お久しぶりです。コメントありがとうございました。この記事に興味を持って、実際にあれこれ開いて下さったというお話を伺い、お役に立ったようで嬉しく思いました。

 本当にコロナのために、美術館、博物館、劇場などへの足が遠のいてしまっています。少しずつ復活してきているのでしょうけれど。
 東博のやまと絵展も、土日祝日のみが予約となり、平日は予約なしでOKとなりましたね。

 とても楽しみな企画ですが、御輿さんからの情報で、
総合文化展でも、
「近世のやまと絵-王朝美の伝統と継承-」という特集を組み、

本館 7室・8室・特別2室
2023年9月5日(火) ~ 2023年12月3日(日)

で、『源氏物語』『伊勢物語』など、なかなか充実した展示があります。特別展と両方をみるのは疲れそうですが、やはり必見でしょうね。リンクはこちら。

https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2621

画面の下の方に「パンフレット」とあるところで、PDFファイルがあり、画像入りの概要を見ることができます。

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