36 4月の花と「たばこと塩の博物館」探訪記(付 亀戸天神社の藤)

 4月の花と「たばこと塩の博物館」探訪記(付 亀戸天神社の藤)

 5月に入ってしまいました。月に3回は書こうと思っていたのに、4月は一つ不足でしたので、4月分の記事を一つ書きます。

 花の咲いている時間は短いもので、丁度その時期に当たらないと見逃してしまいます。私にとって、弘前の桜がそうでした。家人が青森に単身赴任していた時、私も仕事があるので、五月のゴールデンウィークを楽しみに出かけていったのですが、その年は開花が早く、既に散ってしまっていたのでした。連休に合わせて桜見学を企画したツアー会社が、お客さんたちに林檎の花を見に連れて行ったというような噂を聞きました。京都の桜も早かったり、遅かったりいろいろですが、こちらは何回かその時期に当たることができました。京都の桜については、またいつか書きますね。

4月22日

 このようなご時世なので、とりあえずはマイクロツーリズムということで、まずは亀戸天神の藤。何年も仕事で最寄り駅を通っていたのですが、いつも先を急いでいて寄ることができず、やっと念願かなって行くことができました。 


 押上駅B1出口を出て左にゆくと、信号に「業平三丁目」の看板が。そのまま直進して大平四丁目を左折、おいしそうな食べ物屋さんが並ぶ通りを過ぎて、天神橋を渡ると墨田区から江東区に入ります。



 ほどなく亀戸天神の入り口があり、左折すると亀戸天神の鳥居。藤まつりの旗がたくさんあります。丸木橋を渡ると、たくさんの藤棚が見えます。平日なのでそれほど混んではいませんでしたが、結構な人出です。





スカイツリーと藤

 見事な藤でしたが、ある人が、昔はもっと花房が長くて綺麗だった、といっていました。藤の花房の長さを愛でるのは昔からであったようで、『伊勢物語』百一段にも、「花のしなひ、三尺六寸ばかりなむありける」とあります。三尺六寸というと136cmほど、足利フラワーパークか宇治平等院の藤ならばそれくらいあるのでしょうか。まだ見たことはありませんが、藤の花は好きなので、また来年を楽しみに。

 押上駅の近くに「たばこと塩の博物館」があるので寄りました。渋谷から移転してから訪ねたことがなかったのです。


 「塩袋と伝統のギャッべ展」。  撮影禁止でしたので、入り口の画像だけ。ポスターの絨毯がギャッべで、絨毯をめくったところから顔を出しているのが塩袋(ナマクダン)です。このギャッべは、中心に生命の樹が織られ、周囲に人物、動物、花がたくさん描かれていますが、よく見ると織りがずれて、生命の樹がまっすぐになっていないところがご愛敬です。完璧なものよりも作り手の息づかいのようなものが感じられますね。
 この特別展は、現地でも入手不可能な百~数十年前の絨毯を中心とした遊牧民染織品を集めた丸山繁さんという方のコレクションです。個人のものなので通常は非公開とか。太い糸で粗く織り、素朴で大ぶりな意匠を描き出した絨毯の原型ともいえるギャッベと、 各部族を象徴する紋様を羊毛で織り込んだ塩袋、草木染めが美しいキリムなど約90点が展示されていました。塩袋の先端が細くなっているのは、羊や山羊が勝手になめないよう、口が入らないようにするためなのだそうです。そうした重要な生活必需品である塩袋を、女性たちは、数々の願いや祈りをこめて刺繍し、織り上げてゆくのです。

 4月20日の日経朝刊に、この展覧会について、丸山さんが「塩袋に描く遊牧民の美」という記事を書いていて、「遊牧民は家畜が生きるために必要な塩を適度に与えて飼いならしている。家畜がつながれてもいないのに逃げないのは、塩がもらえることを知っているからだ」とあったことに興味を覚えて、行ってみることにしたのでした。ネパールを旅した時に、ヤクが岩をなめるのを見て、人は岩塩と知ったという話を聞いたことも思い出しました。「たばこと塩の博物館」では、いろいろな動画を見ることができて、塩が生物にとっていかに重要かというものもありました。塩が不足すると赤血球が膨張して危険なのだとか。時々、むしょうに塩煎餅を食べたいと思う禁断症状(?)が出るのは、おそらく塩不足になっているのですね。家人は塩をなめればよいといいますが、やはりそれはちょっと…。

 この特別展示は5月15日までです。もうあまり期間がありませんが、興味がある方は是非おでかけ下さい。

 
4月27日 
    花探訪のハイキングに凝っているという義妹の案内で、高尾山口から歩いてゆける熊谷草の群生地へ。
 駅を出て、左折し歩道をまっすぐ30分くらい歩くと梅の木橋に出ます。橋を渡って数分、南浅川町公民館を左折(うかい鳥山の矢印の看板があります)。




 
 貴布祢橋を渡って、1-2分で、鳥居があります。鳥居の写真は撮り忘れました。あまり読み易くないのですが「吉髙菊一稲荷神社」とあるようです。鳥居の正面が蛇塚で、その後ろが熊谷草の群生地です。

     






 ニリンソウ、イチリンソウなども少しですが、咲いています。これはイチリンソウ、西山峠にゆけば、もっと見事なニリンソウの群落があるというのですが、これで十分。
 帰り際に、お庭に熊谷草が咲いているお宅がありました。

       
 このお宅の方が、神社の熊谷草も管理しているのかなと思いつつ、戻りました。
 
 今年の花は、桜もそうでしたが、少し早かったようです。でも満開の時に出会うことができて幸運でした。案内してくれた義妹に感謝。

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コメント

柊 さんのコメント…
こんにちは
記事を拝読させていただきました。
マイクロ・ツーリズム、素敵ですね。
藤の花の房が見事です。現代は棚に仕立てることがほとんどのようですが、平安時代では松の木にかかる藤の花が書かれているので、それはどんなふうに見えるのか想像が膨らみます。
「たばこと塩の博物館」は移転してから訪問していないのですが、機会があったらまた行きたい場所の一つです。

以前、シーボルトの紫陽花についてお書きになっていらっしゃいましたが、数年前に庭に植え、今年はもう萼が色づき始めています。今の紫陽花は品種改良でパステル調の色のものが多いですが、オタクサは紫陽花というと誰もが思い浮かべるような深い青色の花(萼)です。性質も頑健で、日当たりの良いところなら株が大きく育ちます。昔ながらの紫陽花がお好きな方にはおすすめの品種です。
M.Nakano さんの投稿…
柊さん、コメントありがとうございました。

 松の木にかかる藤、そうですね。今頃は、山藤と申しますか、松とは限りませんが、山の大木に絡まっている藤というのは、よく見かけますね。松と藤は、山というよりは庭園的ですし、何よりも屏風歌、つまり絵画的な取り合わせのデザイン的なものだったような気もします。

 シーボルトの紫陽花(オタクサ)がお庭にあるのですね。原種アジサイといってよいのでしょうか。アジサイの原種というのは考えたこともありませんが、そんな深い青色の紫陽花がお庭にあるとは素敵です。いつかお写真を見せてください。

 東洋文庫のシーボルト・ガーデンには、20種類くらいの紫陽花があるそうなので、今頃でしたらオタクサも見られるのかもしれませんね。
 東洋文庫のブログは多彩ですが、紫陽花についての記事もありました。オタクサではなく、珍しい紫陽花の写真のようです。

 http://www.toyo-bunko.or.jp/museum/mablog2/mablog2_showeach.php?tgid=1559981640

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