93  100分で名著「ウェイリー版“源氏物語” 」

 100分で名著「ウェイリー版“源氏物語” 」

 2024年9月2日(月)から、100分で名著「ウェイリー版“源氏物語” 」が、始まりました。

 1925年、『源氏物語』がアーサー・ウェイリーによって英語に翻訳され、そのすぐれた訳が大評判となり世界に広まったことはよく知られています。100分で名著では、もちろん、ウェイリー英訳そのものが取り上げられるわけではなく、ウェーリーの英訳『源氏物語』を、毬矢まりえ(まりや・まりえ)森山恵(もりやま・めぐみ)姉妹によって現代日本語に翻訳されたものを対象とします。戻し訳とか逆翻訳といわれるものです。もちろん、もとのウェイリーの訳も関わってきます。

         
これが戻し訳の第一巻です。表紙はクリムトの絵が鮮烈。
  

 比較文学、比較文化的な見地からみてもとても面白くて、あっという間に時間がたってしまいました。ウェイリーによる「源氏物語」英訳では、「帝」はエンペラーに、「宮廷」はパレスに、「物の怪」はエイリアンに、そして「修験者」はエクソシスト…と巧みに翻訳された。エイリアンは中に入ってくる者、エクソシストはそれを外に出す者という意味で非常に見事や翻訳だという話はとても印象に残りました。

 もう一つ、画像というか漫画が挿入されるのですが、それが、平安風の絵ではなくて、ヨーロッパ中世の騎士道物語のような絵なのです。ウェーリーは、『源氏物語』は、皇宮年代記(クロニクル)であり、おとぎ話(フェアリーテール)であると語っていると解説者の安田登さんが話していましたが、それが、ウェイリー訳の『源氏物語』を世界の人々が受け入れた理由であるかもしれず、まさにこの絵がそのイメージを表しているようで、とてもぴったりくるものでした。

 これは光源氏と葵の上。光源氏は「Genji the Shining One」と訳されているので、絵でもいつも光輝いています。

 

            (画像はNHKによる)

 第二回以降も楽しみです。(以下++++++++までは、後日追記部分)
 第二回は、ロールプレイングゲームとかアイテムゲットというお話になってしまって、現代風名解釈でした。英国の騎士道物語と関連づければ、当時の読者がそんなふうに読んだ可能性もありますけれど、私的には、どうかな、という印象でした。空蝉、夕顔、末摘花、若紫までですから、今回は第一部だけ扱うのかな。
 第三回は、「あはれ」をウェイリーがどう英訳したか、というお話から始まって、レディ・ロクジョー(六条御息所)がメインでした。ウェイリーという異国の人物が、ここまで正確に『源氏物語』における六条御息所の内界を捉えていたことに、大きな驚きと感動を覚えましたし、フロイト(精神分析)とプルースト(意識の流れ)と同時代であったというのも面白かったです。能「葵上」との比較は、解説者が安田登さんですから、自家薬籠中のお話といえますが、ウェイリーが能の訳もしているというのは知りませんでした。さて、第四回は、戻し訳の姉妹がゲストで登場するようです。第四回も何か感想があったら付け足すことにします。

 『源氏物語』第二部について本格的に扱うのは、またの機会になるのかもしれませんね。

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 リンクは以下の通りですが、リンクは切れますので、コピーも貼り付けておきます。
 おすすめです。

https://www.nhk.jp/p/meicho/ts/XZGWLG117Y/episode/te/ZGR5W265Y5/

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ウェイリー版“源氏物語” (1)翻訳という魔法

初回放送日:2024年9月2日

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